【探求】草木染めビエンナーレ・in・あいちに行ってきました

 12/9~12/14に開催された
草木染めビエンナーレ・in・あいちへ行ってきました。

草木染めビエンナーレとは

 2年に1回、愛知県で行われる草木染めの美術展覧会です。

 出展者は日本の方だけでなく、
海外からも多数の出展応募があるそうです。

 そのため、かなり国際色豊かな美術展覧会となっていました。

目的

 目的は草木染めを教えてくださった方がいらっしゃるため、
以下の通りです。

  • 会ってお礼をすること
  • 鞄が完成時にお披露目する約束をしておりそれを果たすこと

 伺って、お披露目すると、
嬉しそうにご覧になられていました。

 裏に使った布を見て
「良い感じに仕上がったね。」
とお話されていました。

フェルナンブコ染め鞄 裏地

 さて、経年変化で革が赤くなる話ですが

 しかりの方曰く
「革が赤くなり始めたのは温度変化じゃない?」
とのこと。

 色々な要因で色が変化していく…。
天然物って面白いなとつくづく思います。

展覧会で気になった作品

 展覧会の作品も見てきました。

 たくさんの作品がありましたが、
特に目に止まったものだけ紹介します。

しだれ桜

 この「しだれ桜」という
着物に草木染めを施した作品です。

草木染手描友禅訪問着 「しだれ桜」

 展覧会でずっと見入っていた作品です。

 この作品の前に立つと山奥に咲くしだれ桜を彷彿させるのです。

 ハラハラと舞い散る花びらの「儚さ」と
花びら一つ一つに描かれる「力強さ」…。

 最後の命の燃え上がりの様で尊いです。

 背景の2色のコントラストが
絶妙なバランスでこの桜を引き立たせます。

 見入っていると、主催されている方から
作者の方この作品を作り終えた後、亡くなられたことを聞きました。

 …それを感じたのかはわかりません。

 しかし、私がこの作品に惹かれたのは
「魂で描かれていたから」なのは明らかです。

 今まで絵画やイラスト、アニメ等、目で追う者で
惹かれるものは全くありませんでした。

 それよりか、徹底的に機能性を追求した
「道具」のデザイン(外観や回路の構造)の方が
よほどか惹かれるのが私です。

 そんな私が惹かれたのです。素晴らしい作品です。
今後が期待できる方が亡くなられたことが本当に悔やまれます。

そよ風

タペストリ そよ風

 全部「蘇芳」で染められた作品です。

 一つの材と媒染でこれだけ色彩豊かな作品が作れるのです。

 赤や紫は勿論のこと

タペストリ そよ風 拡大1

 グレーや青系まで…

タペストリ そよ風 拡大2

 フェルナンブコと蘇芳はほぼ同じ色素を持っているので、
染料として突き詰めると面白いものが出来そうです。

綾織り着物 フェニックス

綾織り着物 「フェニックス」

 手が込んでいるなと思ったのがこの作品です。

 ぱっと見ると淡い朱に見えますが、
角度を変えてみるとちょっと見える色が変わります。

 拡大すると色が変わるように染めた糸を
うまく組み合わせているのが分かります。

綾織り着物 「フェニックス」 拡大

 …う~ん、手が込んでいます。

最後に

 草木染めでお世話になった草木染工房しかりの方から

 「フェルナンブコ材を染料として探求するなら、
二年後の草木染めビエンナーレに応募を目標にしては?」

 とおっしゃられたので、
ここに参加することを目標に探求してみようと思います。

 条件は「染めた材が全て天然であること」なので、
今の革だとクローム鞣しの後、クロームを抜き、
フェルナンブコのエキスを入れる作りのためアウトです。

 したがって、タンニン鞣しで染色できるように
動くことにします。

 こうした作品も「タペストリー」として出展されているので、
「草木染めの革で靴を作りました」ということで応募しても
問題なさそうです。

ブラジルウッド染め タペストリ

 やるなら「徹底的に自然の風合いが出ている靴」を色々な方の協力を
得て誂えたいですね。

 今から色々と模索します。

【2016.06.07 追記】

 2016年は以下の理由により作品の応募は無理と判断しました。

  1. 本業(組込SE)で立て込んでいること
  2. フェルナンブコ鞣しの革(フルタンニン)が未完成であること
  3. 今までフェルナンブコのオガ粉以外の利用方法にリソースを取られていたこと。

 期待された方には深くお詫び申し上げます。

 大変申し訳ございません。

【探求】草木染めビエンナーレ・in・あいちに行ってきましたに関するコメント:3件

  1. 小林 眞紀 says:

    偶然、今、拝見しました。
    突然のメールで失礼します。
    眞紀 と申します。
    上の作品を創ったものです。
    タペストリー?と書いていらっしゃる
    作品です。
    まさに フェルナンブコ
    ブラジル木 Pau Brasil 染料ですよ。
    1998年〜2002年にSão Pauloに住んでいた時に
    草木染めに出逢い、
    初めて染めたのが
    Pau Brasil でした。
    帰国してから、作品は全て
    その染料でしています。
    ヴァイオリンの弓を手作りしている
    ブラジル人の方の削りカスを
    分けていただいています。
    もう、輸出禁止ですよね。
    革の作家さんなんですか?
    このページしか未だ拝見していないのですが
    すぐに、お便りしたくなり書いてしまいました。
    どんな作品を作られるのか
    今から拝見してみますね。
    突然にお邪魔しました。
    夜分遅くに失礼しました。

    1. 杵人 says:

      小林 眞紀 様

       ご覧頂き、有り難うございます。

       革の作家ではありません。本業はフリーランスの組込SE(システムエンジニア)です。

       フェルナンブコ材に関しては、バイオリンの弓メーカー杉藤楽弓社様の協力を得て
      弓にならないフェルナンブコ材の利用方法を検討しています。

       目的は以前、弓にならないフェルナンブコの端材で作った
      万年筆が製品化されたのですが、販売中止となったため、
      別の万年筆メーカーで再製品化することでした。

       輸入禁止になってしまった材を活かせる環境が途絶えてしまったのが
      勿体なくて2014年から活動を始めました。

       なお、万年筆は無事に製品化しました。

       その中で杉藤様からフェルナンブコのオガ粉で何か出来ないかということで、
      革を中心に模索しています。

       作品応募に関してですが、現在、クロムレスのフェルナンブコ鞣しの革が完成していない状況なので
      2016年の作品応募は無理と判断しています。

       期待させて申し訳ございません。

       ただ、「フェルナンブコ鞣しの革」に関しては魅力的な材料となることを
      目標に研究していますので、ちょくちょく覗いて頂ければと存じます。

  2. 藤原由妃 says:

    こんにちは偶然ここを見つけました
    綾織り着物 フェニックスの作者です。
    ビックリ&嬉しくてコメさせていただきました。
    だいぶ時は立ちましたが
    沢山素敵な作品があるなか取り上げてくださりありがとうございました。

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