二年間やってきた検証と見えてきたもの
更新を止めていた間にも機器の調整やケーブルの検証をやっていました。
その中で固まった音響機器に対する私の考えや行ってきたことを書いていきます。
二年間検証を行って見えたもの
音響機器にこだわる目的
音楽から音楽に込められた情景を余すところなく感じ取ることが目的です。
音楽が音源に収められるまでに主となるミュージシャンだけでなく、
スタジオミュージシャンやレコーディングエンジニア等いろいろな人達の感性が交わります。
各人が交わってできる雰囲気とか空気感、各人の歌っていたり楽器を弾いたりしたときに出る瞬時の緊張感、
これらが聴覚以外の感覚を想起させて音楽の世界が情景となって眼前に広がっていく様を
余すところなく味わいたいのです。
音源に求めること
音楽を閉じ込める音源に求めることは
「音楽からその世界を感じ取れること(音圧とか細かなことは関係なく)」
です。
私が好きなミュージシャンのレコーディングに多くかかわっていて
日本プロ音楽録音賞で賞をとられるエンジニアの方はそうしたことを把握して仕事をされています。
① Headphoneとハイレゾ Column Kunihiro Imazeki
特にコラム内の以下の文章から伺えます。
言葉にできないそう言ったアーティストの脳みその中にある想像力を具現化するのが我々の仕事であり、使命であって、ハイレゾかCDかなどというのはお店に新しい額縁とキャンパスが売ってたよ〜と勧めてあげてるかどうかに過ぎないわけです。
どんな額縁に入ろうがそのオリジナルが本来持っている良い部分をいかに描写するかに命を懸けているいるという事です。仮にへんちくりんな額縁に入れられたとしても失われない存在感を残すために。
技術が内容であり、内容を作るために様々な手法(ギミック)を適宜駆使することを知っているからこそ書ける文章と感じます。
目的のために音響機器に求めること
音源に対してできるだけ追随できるようにすることです。
これを求めて機器の選定や調整及びケーブルを作成した結果、行きついた先が
「機器の音より音楽や映像作品内の音が真っ先にに耳に入ってきて、聴覚から嗅覚などの他の感覚を想起させる音」
となり、前述の自分がなぜ音響機器にこだわるのかに気づけました。
各音響機器に対する要求を下表に思いつく限りで明文化しました。
レコード関連は探求していないので記載していません。
機器 | 要求すること |
---|---|
DAC |
・クロックタイミングが正確であること ・極力加工しないこと(NOSが理想) |
プリアンプ | ・上流(DAC or フォノイコ)の音を正確に分離すること |
パワーアンプ ヘッドホンアンプ |
・オーバーシュート(指令に対して大幅に飛び出る)がないこと ・応答遅れがないこと |
スピーカー ヘッドホン |
・ドライバ自体の共振が少ない事 ・筐体の付帯音を少なくすること |
こうした考え方なので、上記を満たさないで「原音史実」と謳う機器や
音楽を殺してしまうほど強いクセのある機器に対して凄く怒っていたわけです。
音楽や作品内の音を料理、機器をお皿とするならば、
クセのある音って「スパイスやソースで汚れている状態」といえるわけで、
そんなお皿で料理を食べたくない。
それだけです。
二年間行ってきたこと
機器の選定
前述の条件をもとに選定を進めた結果、以下の構成となっています。
DACにADI-2 Pro FS
ヘッドホンアンプ代わりにSSL SiX
ただ、スピーカーに関してはVictor SX-900を昔改造したものを使っています。
もし、現行スピーカーで選ぶならEclipseのTDシリーズ一択ですね。
スピーカー用アンプにはX-PM7を使っていますが、再選定必要と考えています。
音声ケーブルは色々と試した中で、今のところカナレがベストです。
真っ当な機器なら、カナレで整えればほぼ問題はないでしょう。
ケーブルの作成
秘密にしているはんだを用いて普通にアセンブルしていましたが、
ケーブルの軽量化目的でシースとシールド線を剝きたいと考えて
サーマルワイヤストリッパーを導入したことにより
芯線を引き出して4つ編みの後、熱収縮チューブで保護、
さらに良いスリーブを見つけてさらにより音が出るように
と改良しました。
ラインケーブルも同じように再構築しています。
改良の後、今使っているはんだとプラグのはんだの粗まで
出始めてしまったので、再選定中です。
なお、ヘッドホンケーブルをレコーディングエンジニアに販売していましたが、
オーディオチックな音を音源にする方だったため、フェードアウトしました。
調整
心構え
大切な心構えとして
「材や処置に酔わず、機器に敬意を払って行うこと」
でしょうか。
良い道具は作り手の哲学や意思が込められています。
音響機器に関してはそういった道具が珍しいので、
できている機器には敬意を表したいし、
調整するなかで機器からいろいろなことを教わりたいのです。
方針
分解した時どのようになっているのか観察して、
機器の良さを捉え、機器の癖を無くすための
適切な箇所に適切な材料で処置すること
です。
処置は色々とありますが、ヘッドホンやスピーカーでは以下の処置をしています。
- 補強:振動させないための補強
- 制振:たまった振動を逃がす、散らす等…
- 吸音:余計な音を吸収する
- 再配線:基板パターン上等での電力損失を軽減する
ヘッドホン
HDJ-X10を改造しています。
Inter BEEにてHDJ-X10開発者に調整に関してOKを頂いたので、
それからは自信を持って行っています。
当時のひと風景…
当初は一つの材料頼みでしたが、
材料がなくなったことを契機に材を複合して使うテクニックを覚えた結果、前述の手段に到達しました。
そのほか、HD650もチューニングして使ってます。
HD650はやや荒れ気味な高域を抑えて、抑揚が出るようにしました。
おかげで、スポンジフィルターを外しても耳が痛くならなかったので、
メッシュに変更しました。
材料や改造方法は機会がありましたら紹介します。
車
車購入時にカーナビとスピーカーは別途購入して、
父の知り合いの電装屋さんに協力していただいて調整をしました。
チューニングを自力でやった理由は
「結果がどうであれ、カーオーディオのチューニングとは真逆の
チューニング材を極力抑えたやり方で調整を行いたかったから」
です。
スピーカーに適切な制振対策を行って
車体の響きを確認して、響く部分に制振材を貼る位置としてマーキングし、
制振材や吸音材をはりました。
(写真だと制振材が見えないですが、マスキングテープを張った裏側に制振材を貼りつけています。)
結果として、ケーブルやヘッドホンの調整と同様に音楽の色がきちんと前にでるようになりました。
この時に私が音響機器に求めていたものに気づいたという次第です。
チューニングした車は父も使うのですが、満足そうに使っています。
曰く
「音楽のニュアンスが分かって良い。
最近の機器は音楽を大切にしないし、それを多くのユーザーが理解しない。」
とのこと。
最後に
長々と書きましたが、二年間行ってきたことと見えてきたことでした。
たまっているネタを徐々に更新していきます。
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HDJ-X10
私がずっと愛用し続けているHDJ-2000シリーズの最新機種、HDJ-X10です。
HDJ-X10の紹介記事もありますので、時間がありましたら、ご覧ください。
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ADI-2 Pro FS R Black Edition
私が使っているADI-2 Pro FSの後継DACです。
電源の変更と局所に制振対策、自分に合ったDACのフィルタ設定を行えば、
高額なDACを押しのけることすらできるレベルの音を有します。
ヘッドホンアンプ部分は応答性が良くないので、別途設けた方が良いしょう。
…お金に余裕ができたら、乗り換えたい。
RME アールエムイー/ADI-2 Pro FS R Black Edition AD/DA コンバーター
SSL SiX
これも20万近くと高額であり、入出力がバランスしかないのでちょっと使いづらいですが、
一音一音綺麗に分離してくれるので、重宝しています。
また、出力に複数の機器をつなげられるのも魅力です。