弓にならないフェルナンブコ材の利用検討の報告(2015年10月版)
現時点での弓にならないフェルナンブコ材の利用を検討した結果の報告です。
1 はじめに
フェルナンブコ染め鞄の記事と似たような内容になりますが、
活動のきっかけとフェルナンブコ材の紹介をします。
1.1 活動を始めたきっかけ
活動を始めたきっかけは三光堂限定万年筆として販売されていた
フェルナンブコ万年筆が2011年末に販売中止となり、
もう一度復活できないかと杉藤楽弓社様へ問い合わせ、
非営利(ボランティア)で動くことにしたことです。
1.2 フェルナンブコとは?
Wikipediaによると、正式名「ブラジルボク」というマメ科の植物です。
染料として使われていましたが、硬さと響の良さから
バイオリンの弓として使われています。
ところが材料として伐採しすぎたため、2007年に
ワシントン条約で「輸入禁止」となってしまいました。
1.3 フェルナンブコの特性
フェルナンブコには以下の特性があります。
- 硬いこと
- 染料が抽出できること
- よく音が伝わる事
よく音が伝わるのは「色素」も関連するという研究があり、
研究結果を元にした特許も公開されています。
1.4 バイオリン弓にできない材
杉藤楽弓社様とお話をしていく中で、
バイオリン弓に出来ない材は3種類あることが分かりました。
・節やヒビで弓にできない弓用角材
・バイオリン弓の角材製造時にできるブロック材
・バイオリン弓加工時に出てくるオガ粉
2 弓にならないフェルナンブコ材の利用検討結果
2.1 現状の結果一覧
結果は以下のことから成功と言えます。
- 始めたきっかけであった万年筆が無事再製品化できたこと
- 活動全体を通して、杉藤楽弓社様がフェルナンブコ材の可能性を認識し、
自社製品に自信をもち、自社で新製品を開発されたこと
結果を表にまとめます。
材 | 特性 | 具現化したもの | 結果 |
---|---|---|---|
角材 | 希少性 | 万年筆 | 製品化 |
オガ粉 | 染色力 | 染色した革と布を使った鞄 | 製品化の為に検証継続 |
ブロック材 | 音響性能 | 削除 | 中止。 |
2.2 その他の成果
その他の成果として人脈を広げられたことと
自分の可能性が粗方把握できたことが挙げられます。
ブロック材の利用に関しては製品化までの過程が成果とも言えます。
音響特性に可能性があると判断して、製品化を進行した結果、
杉藤楽弓社様で自社製品を開発し始めたためです。
2.3 今後の方針
今後はまだ製品化に至ってない分野を
一つずつしっかりと製品化していきたいです。
そのため、優先的にオガ粉の利用した製品化を加速します。
オガ粉で染めた革と布を使った鞄から、
革が経年変化の楽しみがあって面白いと考えたため、
革を中心に考えます。
中途半端にリリースすると色々と信頼を損なうため、
じっくりと石橋を叩いて渡る感覚で慎重に行う予定です。
これが試作3作目です。
肌に触れる革を目指し、薬品をほとんど使わない鞣しと、
抗菌作用のある墨染めを用いています。
渡した業者に全部使われたようで、手元にありません。
余ったら戻してと業者に言わなかった私が悪いので仕方がありません。
加工品を吟味して3作目より良い革を製作するだけです。
3 事業開拓として再スタート
以上の結果とタンナーの方から
「フェルナンブコ鞣しの革で革製品を作って本格的に事業をしたら」と
強い後押しがあり、独立することにしました。
安直な起業や事業の立ち上げほど危険なことはないと考えている為、
覚悟を決めるのに数ヶ月ほど悩んで決心しました。
まずは、11月からフリーランスSEとして資金を稼ぎます。
稼いだ資金を事業開拓に回し、
上手く行きそうなら事業を鞍替えする計画です。
計画は簡単に以下の順序です。
- SEの稼ぎを製品開発へ回す(5~7年)
- 製品販売して問題なさそうな段階でテストマーケティングを開始(1~2年)
- 粗方問題なければ、製造・販売へシフト
現在、個人事業用のサイトを作成中です。
このサイトとは別に作ります。このサイトは実験用サイトとして
運用していきます。
個人事業用サイトに使うCMSとしてJoomla!を検討しています。
4 最後に
この非営利活動を通して自信が付き、病状の早期回復に一役買いました。
何もしていなければ、今でもずっと沈んでいたでしょう。
それに色々な方と知り合えたのが何よりも財産です。
足掻けるだけ足掻いてみるものです。
これからどうなるか不安ですが、
やれるだけやっていきます。
更新履歴
日時 | 内容 |
---|---|
2017/11/07 | 音響関係の記事削除 |
2015/10/30 | 新規作成 |